一般社団法人 日本有機農産物協会(Japan Organic Products Association)

コラム

VOL.6 少ない予算でスタートするオーガニックライフ

※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。

https://organic-btoc.com/index.html

「できるだけ身体に良いものを食べたいし、家族にも食べさせたい。でも、すべての食材をオーガニック(有機)で揃えるのは金額的に難しい」という声をよく聞きます。

たしかに、オーガニック食品は、多くの場合、一般の食品よりも価格が高めになっています。たとえば野菜の場合、品種にもよりますが、一般栽培の野菜よりも1~2割程度高いようです。加工食品の場合はもっと価格差が大きく、一般の商品の2倍以上の価格になってしまうこともあります。

「すべての食材をオーガニックにするのが難しい場合、どうすれば良いのだろう?」と迷った場合、まず、お米と野菜をオーガニックに切り替えてみてはいかがでしょう? どんな家庭でも、お米と野菜は毎日食べていることと思います。毎日繰り返し食べているものをオーガニックにすれば、食卓に登場する食材のオーガニック比率がグンと上がることになりますね。それさえも難しいという場合は、“特によく食べる野菜をオーガニックに切り替えてみる”ということからスタートしてみても良いかもしれません。

野菜を安くするには、
❶大規模農場で少ない種類の野菜を大量に育てる(多品種の野菜を栽培しない)
❷防虫・防菌・除草の人手を減らすために、農薬や除草剤を散布する
❸見栄えよく早く大きくなるように化学肥料を使う
❹人口が集中している都市部(大消費地)にだけ大量に出荷する
❺大規模店で大量に販売する
…等、“効率”を優先させる農法や流通が選ばれることになります。一方、オーガニック野菜を育て、運び、販売するためには、どうしても、ある程度のコストがかかってしまうわけです。

ところで、田んぼや畑で使われた農薬や化学肥料は、いったいどこへ行くのでしょうか? 農薬は土壌に染み込み、地下水に混じり、やがては川や海に流れ込みます。さらに、大気中に蒸発し、雨となって、再び大地に、そして私たちの頭上に降り注ぐ危険性も考えられます。その過程で、魚介類や海洋生物が化学物質で汚染されたり、健康な土づくりに役立つ虫や微生物が死んでしまったりと、生態系が乱されていくのです。汚染された水・土・空気、毎日食べる食品に含まれる残留農薬や添加物、生活の中に溢れる化学物質などが複合的に人体に影響することで、アレルギーや病気の原因となる可能性もあります。

現状では“高い”という印象のあるオーガニック食品でも、多くの人が求めるようになり、生産量が増えれば、様々な場面でコストダウンをはかることが可能になり、徐々に値段が下がっていくはずです。一人でも多くの人が、一品でも多くのオーガニック食品を選ぶようになることで、世の中が変わっていきます。「我が家だけが始めても、たいして影響力はない」と諦めず、「まずは一品からでも、オーガニック食品に替えていく」ことを始めてみませんか?

お米や野菜の次は?
お米や野菜をオーガニックに切り替えたら、次は、毎日のお料理に使う基本調味料をオーガニックにしてみることをお薦めします。オーガニックの醤油や味噌などは、一般品に比べると、一見、価格差が大きいと感じるかもしれませんが、1回の調理に使用する量に換算すると、ほんの数円~数十円の違いです。プロの料理人には、「料理の出来映えの8割は調味料選びで決まる」という方々もいるほど、味付けには重要な役割を果たすもの。『オーガニックBtoC』のwebサイトで紹介されている「国産有機サポーターズ」のメンバーの中には、味わい深い醤油や味噌を作っているメーカーさんもいらっしゃいます。「国産有機サポーターズ活動事例集」で、それぞれのこだわりのものづくりについてご紹介していますので、ぜひご一読ください。

ライター 小林 さち

日本語学校で教師をしていた20代の頃、生徒さん達が自国の政治・文化・環境問題等について熱く語る様子に刺激を受ける。「自分も“国の底力”を支えるような仕事がしたい」「国の底力ってなんだろう?…まずは“食”と“農業”では?」と、オーガニック系食材宅配会社に転職。仕入れ・商品開発担当者として、全国の農家さん・漁師さん・食品メーカーさん等を訪ね歩く数年間を送る。たくさんの生産者や食材と触れ合う中で、「この国には、良い食品を作ってくれる人が思いのほかたくさんいる。でも、その良さが、生活者(消費者)にきちんと伝わっていないケースが多々あり、良いものがなかなか広がっていかない」ということを痛感するように。以降、広告宣伝の部署に異動した後、独立。現在はフリーランスの立場で、広告プランニング・コピーライティング・商品ラベルやパッケージの企画・食生活や食育に関する記事執筆等を手掛けている。