一般社団法人 日本有機農産物協会(Japan Organic Products Association)

コラム

VOL.2 コロナで多くの死者を出したイタリアでブームの“和の食材”とは?

※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。

https://organic-btoc.com/index.html

コロナにより、多い時期には1日に1000人近い死者が出たイタリア。第一次ロックダウンの際は、飲食業だけでなく他の産業も営業を停止していました。国民は、自分が住んでいる町以外の商店に出かけることを禁止され、商店では、“食材及び日々の暮らしに必要不可欠な消耗品”以外は売ることも買うことも禁じられていたのです。

それほど緊張感の高い生活を経験し、今もなお警戒が続いている中で、現地の人々が注目しているのが“和食”なのだとか。

イタリアといえば、世界的に有名なアメリカ発ハンバーガーショップがローマに開店したことをきっかけに、「自国の食文化を守ろう!」とスローフード運動が始まった国です。「伝統的な食文化」「農薬や合成食品添加物に頼らないシンプルな食材」を大事にするその視点が、日本の伝統的な食材をとらえたのかもしれません。

今では、多くの医療従事者やシェフたちが、旬の野菜・玄米・雑穀などをベースに、日本の味噌・醤油・漬物・梅干し・甘酒などを積極的に摂る食生活を実践し、「ワクチンだけでは不十分」「毎日の食事を見直すことで、腸内環境を整え、炎症を抑え、免疫力を強化しよう」と提唱しているそうです。

近年、腸内環境と免疫力には密接な関係があることが分かってきており、発酵食品に注目が集まっています。伝統的な発酵食品がそれほど豊富でないイタリアでは、日本の発酵食品がよく売れているそうで、インターネットで作り方を調べ、味噌や漬物を自宅で手作りする人々も出始めました。

「腸活(腸内環境を整えるための活動)」をするには、本物の発酵食品を見分ける必要があります。たとえば糠漬けは、“糠漬け風の味付けをした調味液を野菜にまぶしただけ”ではなく、本物の糠味噌に漬け込んで発酵させたものでなければなりません。また、使用する食材は、農薬や合成食品添加物などの化学的な物質を使用しない、オーガニック(有機)のものが望ましいでしょう。菌は高温に弱いものが多いため、「お味噌汁は、火を止めてから味噌を入れ、その後は沸騰させない」等の知識も必要ですね。

コロナウィルスのみならず、様々なウィルスや有害物質から健康を守るためにも、伝統的な発酵食品を日々の食事にうまく取り入れていきたいものです。

ライター 小林 さち

日本語学校で教師をしていた20代の頃、生徒さん達が自国の政治・文化・環境問題等について熱く語る様子に刺激を受ける。「自分も“国の底力”を支えるような仕事がしたい」「国の底力ってなんだろう?…まずは“食”と“農業”では?」と、オーガニック系食材宅配会社に転職。仕入れ・商品開発担当者として、全国の農家さん・漁師さん・食品メーカーさん等を訪ね歩く数年間を送る。たくさんの生産者や食材と触れ合う中で、「この国には、良い食品を作ってくれる人が思いのほかたくさんいる。でも、その良さが、生活者(消費者)にきちんと伝わっていないケースが多々あり、良いものがなかなか広がっていかない」ということを痛感するように。以降、広告宣伝の部署に異動した後、独立。現在はフリーランスの立場で、広告プランニング・コピーライティング・商品ラベルやパッケージの企画・食生活や食育に関する記事執筆等を手掛けている。