一般社団法人 日本有機農産物協会(Japan Organic Products Association)

コラム

VOL.11 輸入レモンと国産レモン。 何が違う? どう洗う?

※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。

https://organic-btoc.com/index.html

2014年に「塩レモン」がヒットして以来、数年にわたって静かなレモンブームが続いており、酒類・清涼飲料水・ケーキやタルトなど、レモンを使ったアイテムがよく売れています。

東北大学の坂井信之教授によれば、「細胞の活動や成長をサポートしたり、ストレスや疲労をやわらげたりする有機酸を含んでいる」、「リラックス効果やリフレッシュ効果があると言われる芳香成分”リモネン”が、柑橘系の中で最も豊富」、「クエン酸による消化促進効果が見込める」「肝臓から出る胆汁の分泌を良くすると言われている」等、レモンには様々な健康効果が期待できるとのこと。

そんな優れものフルーツのレモンですが、知っておいていただきたいのが、輸入レモンには防黴剤(「ぼうかびざい」又は「ぼうばいざい」)が使われているという事実。レモンやオレンジなど輸入柑橘類の多くは船で運搬されるため、日本に到着して販売されるまでに長い時間がかかります。そのため、お店に並ぶまでにカビが生えたり腐ったりしないよう、収穫後、果実に農薬を撒くのですが、その時に使われる農薬のほとんどは非常に強い毒性があるため、日本国内では使用が禁止されているものなのです。(日本に輸入される際には、「農薬」ではなく「食品添加物」という取扱いになっており、農薬としては禁止されている薬品を使っていても、現状は輸入が可能。)

輸入レモンやオレンジに「OPP・TBZ・イマザリル使用」などと記載されているのをご覧になったことがあるでしょう。それらはいずれも代表的な防黴剤です。レモンの皮には、そのように毒性の強い農薬が残留していることが多いため、「塩レモン」「レモンのマーマレード」「レモンピール」「レモンのはちみつ漬け」「レモンタルト」「レモン酒」「紅茶に添えるスライスレモン」など、皮まで使用する場合、輸入レモンは避けた方が安心だと言えます。

幸い、昔は一部の自然食品店や生協などでしか手に入らなかった国産レモンが、最近はスーパーでも購入できるようになってきました。国内のレモン農家さん達には、農薬をまったく使わずに育てている方々もいらっしゃるので、そういうレモンを選べばさらに安心ですね。

下記に、それぞれのレモンの洗い方をまとめてみました。レモンをお使いになる時に参考になさってください。

国産レモン
(農薬やワックスは不使用)
 軽くこすりながら水洗いすれば、皮まで食べられる。
国産レモン
(農薬やワックスを使用)
 【重曹で洗う】
ボウルに水を張り、重曹を大さじ1ほど入れて、レモンを1分ほど浸ける。その後、レモンの皮をスポンジなどでよく洗い、水で流す。
【塩で洗う】
粗塩を手にとって馴染ませ、粗塩でレモンの皮を傷付けないよう気をつけながら、レモンの皮を揉み洗いする。その後、熱湯にさっとくぐらせ、冷水で洗う。
輸入レモン
(防黴剤を使用)
①流水中でしっかりとこすり洗いをすることで、防黴剤を約30%~70%除去できる。
②熱湯の中にレモンを丸ごと入れ、15分間煮沸してから流水で洗い流すと、防黴剤剤を約58%~86%除去できる。
③「②」の工程を2回繰り返すと、防黴剤を約82%~96%除去できる。
※数字は、「埼玉県消費生活支援センター」の実験によるもの。
※ただし、防黴剤は毒性の強い農薬なので、ここまで丁寧に洗い流しても、皮をそのまま食べるメニューには使わない方が望ましい。

ライター 小林 さち

日本語学校で教師をしていた20代の頃、生徒さん達が自国の政治・文化・環境問題等について熱く語る様子に刺激を受ける。「自分も“国の底力”を支えるような仕事がしたい」「国の底力ってなんだろう?…まずは“食”と“農業”では?」と、オーガニック系食材宅配会社に転職。仕入れ・商品開発担当者として、全国の農家さん・漁師さん・食品メーカーさん等を訪ね歩く数年間を送る。たくさんの生産者や食材と触れ合う中で、「この国には、良い食品を作ってくれる人が思いのほかたくさんいる。でも、その良さが、生活者(消費者)にきちんと伝わっていないケースが多々あり、良いものがなかなか広がっていかない」ということを痛感するように。以降、広告宣伝の部署に異動した後、独立。現在はフリーランスの立場で、広告プランニング・コピーライティング・商品ラベルやパッケージの企画・食生活や食育に関する記事執筆等を手掛けている。