一般社団法人 日本有機農産物協会(Japan Organic Products Association)

コラム

VOL.11 伝統野菜の魅力

※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。

https://organic-btoc.com/index.html

「伝統野菜」「固定種」「在来種」などと呼ばれる野菜たちが、近年注目を浴びています。(それぞれの定義や細かい違いを話し出すと長くなってしまうため、今回は省略しますね。)大雑把な言い方をすると、「昔から伝わってきた、その土地特有の品種」「本来の特徴を色濃く残した、昔懐かしい姿や味わいを持つ野菜」ということになるでしょうか。そのような野菜が、いま、美味しいもの好きな人々の心と舌をとらえているのです。“種苗メーカーによる品種改良の末に、どこでも誰にでも育てやすくなった野菜”とは異なる魅力を感じさせてくれるところが、人気の理由なのでしょうね。

植物は本来、生存戦略として、生育する環境に合わせて生き残れるような適応力を持つことが知られています。特定の土地においてある期間育てられ続け、その土地の気候風土や環境に適応した野菜は、農薬に頼らなくても元気に育つものが多く、有機農業にも馴染みやすいと言えます。

お取り寄せが出来る野菜もありますが、「わざわざその土地の料理屋さんに出かけていかなければ味わえないもの」や、「1年のうち、ほんの数日間しか収穫できないもの」など、極めて珍しい野菜も色々あります。「料理人でもなんでもない、地元のおばあちゃん達が、一番美味しい料理法を知っている」なんていうこともあります。スーパーやデパ地下に行けば様々な野菜が簡単に手に入る現代だからこそ、『持って帰れない味』『行かなければ出会えない味』を求めて足を延ばすというのは、なんとも贅沢な体験となるのではないでしょうか? 

「源助大根の“ふろふき”がどうしても食べたくて、金沢に行く」なんて、ちょっと、否、かなりカッコいいことなんじゃないかと思うのです。

源助大根
源助大根
八名丸さといも
八名丸さといも

ライター 小林 さち

日本語学校で教師をしていた20代の頃、生徒さん達が自国の政治・文化・環境問題等について熱く語る様子に刺激を受ける。「自分も“国の底力”を支えるような仕事がしたい」「国の底力ってなんだろう?…まずは“食”と“農業”では?」と、オーガニック系食材宅配会社に転職。仕入れ・商品開発担当者として、全国の農家さん・漁師さん・食品メーカーさん等を訪ね歩く数年間を送る。たくさんの生産者や食材と触れ合う中で、「この国には、良い食品を作ってくれる人が思いのほかたくさんいる。でも、その良さが、生活者(消費者)にきちんと伝わっていないケースが多々あり、良いものがなかなか広がっていかない」ということを痛感するように。以降、広告宣伝の部署に異動した後、独立。現在はフリーランスの立場で、広告プランニング・コピーライティング・商品ラベルやパッケージの企画・食生活や食育に関する記事執筆等を手掛けている。