VOL.19 “遠い場所の他人事ひとごと”に見えるSDGs~“今から”、“ここから”、“私から”。オーガニックライフはSDGsに繋がる。
※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。
https://organic-btoc.com/index.html
「SDGs(エスディージーズ)って最近よく聞くけれど、実際どういうものなのかはよく分からない」という話をTVの該当インタビューや雑誌で見かけることがあります。取り組みをPRしている企業も増え、小中学校の授業にも登場するようになったSDGs。2020年の中学入試では200校以上の学校で出題されたというデータもあるほどです。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。2016年から2030年の間に達成を目指す国際目標で、17の目標と169のターゲットから成り、2015年9月の国連総会で日本を含む国連加盟国193か国が全会一致で採択しました。取り組む課題は、貧困削減・格差の是正・気候変動対策や環境保護・持続可能な生産と消費・ジェンダー不平等の是正・平和構築など多岐にわたります。「誰一人取り残さない(No one left behind.)」を合言葉に、先進国や途上国の区別なく、世界のすべての国々を対象にしています。
SDGsに関する教育が行われるようになったのは近年のことで、大人たちは教育を受けていないため、現在、“大人の方が子どもよりも知識が少ない”という現象が起きているのだとか。小中学生のお子さんがいるご家庭では、夕食の時などに授業の内容を教えてもらうのも良いかもしれません。
少々極端な言い方をすれば、“大人たちがこれまで先送りにしてきた多くの問題点”が、SDGsで改めて取り上げられたと考えることもできます。「社会的には良いことなのだろうが、経済活動と両立しない」とか、「環境には優しいが日常生活が不便になってしまう」とか、「一個人が行動したところでたかが知れている」等々、多くの大人たちが「理想論と現実は別」と考え、本気で取り組んでこなかった問題を、皆で再認識し解決策を見出そうというのがSDGsなのかもしれません。
マイクロプラスチックによる深刻な海洋汚染を食い止めるため、プラスチック製品の利用を減らそうという取り組みの中で、スーパーやコンビニのレジ袋が有料化になり、多くのファストフード店やレストランが紙ストローを使うようになりました。これらの動きが始まる際、SNSには「不便になる」「使いにくい」等、不満の声が溢れていましたが、人々はすぐにそれに慣れ、不満を口にする人はほとんどいなくなりました。そして今では、多くのファッションブランドからセンスの良いエコバッグが発売になったり、「そもそもストローは必要なのか?」という疑問に応えストローを提供しない店も登場したりするようになっています。また、ペットボトルのゴミを削減するため水筒を持ち歩く人々も増え、水筒のサイズやデザインのバリエーションが豊富になって選ぶ楽しみが増えました。
SDGsに関する様々な取り組みは、「不便や不満を我慢すること」ではなく、「より豊かな暮らしや社会のために代替案を探し、そちらを選ぶこと」と考えるのが良さそうです。
飢餓の問題や国際紛争など、SDGsに関する記事を読むと、一見、日本に住んでいる自分の生活とは関係のない、どこか遠い国のことのような印象を受けてしまいがちです。けれども、SDGsには、地球上のすべての人に関わることや、日々の暮らしの中で改善できること等もたくさんあるのです。そしてそれは、オーガニックなライフスタイルと非常に親和性が高いもの。“今から”、“ここから”、“私から”、出来ることを見つけていきませんか?
SDGsのために、毎日の暮らしの中で私たちにも出来ること
・食べ残しや食料を無駄にしないように工夫する。
・バランスの取れた食生活をする。
・健康的な生活習慣を意識して、感染症を予防する。
・家族の役割や家事を平等に分担する。
・いじめや差別をしない、させない。
・地球温暖化について関心をもつ。
・電気などのエネルギー資源を無駄にしない。
・エコバック、マイボトルを持ち歩く。
・プラスチックゴミを減らす。
・環境に配慮した製品を購入する。
・SDGsに関心をもって本を読んだりSNSなどで調べたりしてみる。
ライター 小林 さち
日本語学校で教師をしていた20代の頃、生徒さん達が自国の政治・文化・環境問題等について熱く語る様子に刺激を受ける。「自分も“国の底力”を支えるような仕事がしたい」「国の底力ってなんだろう?…まずは“食”と“農業”では?」と、オーガニック系食材宅配会社に転職。仕入れ・商品開発担当者として、全国の農家さん・漁師さん・食品メーカーさん等を訪ね歩く数年間を送る。たくさんの生産者や食材と触れ合う中で、「この国には、良い食品を作ってくれる人が思いのほかたくさんいる。でも、その良さが、生活者(消費者)にきちんと伝わっていないケースが多々あり、良いものがなかなか広がっていかない」ということを痛感するように。以降、広告宣伝の部署に異動した後、独立。現在はフリーランスの立場で、広告プランニング・コピーライティング・商品ラベルやパッケージの企画・食生活や食育に関する記事執筆等を手掛けている。