VOL.10 ワインのように、お米・お茶・フルーツも『テロワール』を楽しむ
※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。
https://organic-btoc.com/index.html
ワイン好きな方ならば、「テロワール(Terroir)」という言葉をご存じでしょう。フランス語の辞書をひくと「風土の」「土地の個性の」などと記されていますが、もっと分かりやすく表現すると、「葡萄の樹をとりまく生育環境」のこと。気候タイプ(年間を通して乾いているのか/雨が多いのか)、土壌の個性(砂利質で枯れた土壌なのか/肥沃な土壌なのか)、地形の特徴(斜面なのか/平地なのか)等、さまざまな要因で葡萄の味が変わり、ワインの出来に影響するため、高級なワインほどテロワールが重視されるのです。
テロワールは、「国」という大きなレベルで語られることもありますが、多くは「地方」「地区」「農園」という比較的小さい範囲で捉えられています。極端にデリケートなレベルでは、同じ農園内でも畑の位置によってテロワールが異なるという専門家もいるほどです。
テロワールが大きく味を左右するものとして、葡萄(ワイン)の他に珈琲や紅茶が挙げられますが、その他の農産物や農産加工品でも、テロワールによる味の違いを楽しむことが出来ます。日本の場合、“縦長の国で北と南の気候が大きく異なる”、“高地・平地・盆地などバリエーションに富んだ地形”という特徴があるため、狭い国土ながらも農産物は多彩なテロワールで育ち、色々な味を食べ比べる楽しみがあるのです。
新米のモチモチ感と甘みを堪能するなら新潟県魚沼産のコシヒカリ、寿司ネタの味を生かすのは宮城県産のササニシキ…など、全国の米どころのお米を少しずつ取り寄せて楽しむのも良し。狭山茶・宇治茶・八女茶など、緑茶を色々揃えて毎日違う香味を楽しむも良し。青森と長野の林檎や、愛媛と和歌山のみかんを食べ比べ比べるも良し。さらに、同じ地域でも生産者によって味は異なるし、同じ生産者でも、平地の畑と傾斜地の畑、山側の畑と海の照り返しを受ける畑とでは、それぞれに味が異なります。
有機農業に取り組んでいる生産者には、「時間をかけて丁寧に土づくりをした田んぼや畑が自慢」という方々がたくさんいます。是非、彼らのテロワールを味わってみてください。
ライター 小林 さち
日本語学校で教師をしていた20代の頃、生徒さん達が自国の政治・文化・環境問題等について熱く語る様子に刺激を受ける。「自分も“国の底力”を支えるような仕事がしたい」「国の底力ってなんだろう?…まずは“食”と“農業”では?」と、オーガニック系食材宅配会社に転職。仕入れ・商品開発担当者として、全国の農家さん・漁師さん・食品メーカーさん等を訪ね歩く数年間を送る。たくさんの生産者や食材と触れ合う中で、「この国には、良い食品を作ってくれる人が思いのほかたくさんいる。でも、その良さが、生活者(消費者)にきちんと伝わっていないケースが多々あり、良いものがなかなか広がっていかない」ということを痛感するように。以降、広告宣伝の部署に異動した後、独立。現在はフリーランスの立場で、広告プランニング・コピーライティング・商品ラベルやパッケージの企画・食生活や食育に関する記事執筆等を手掛けている。