一般社団法人 日本有機農産物協会(Japan Organic Products Association)

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2020国産有機サポーターズ活動事例集1

※本記事はオーガニックBtoCサイトより移管した記事になります。

https://organic-btoc.com

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Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機サポーターズ活動事例集1
  2. 栃木県大田原市
    天鷹酒造株式会社代表取締役社長 尾﨑宗範さん
  3. 【天鷹酒造とは】
    日本の原風景のような田園風景が広がる、那須高原南端・栃木県大田原市。天鷹酒造は、田んぼに囲まれ、那須岳からの豊富な伏流水にも恵まれたこの地で、百年以上も酒づくりを続けてきました。有機に取り組み始めた当初から世界食品規格(コーデックス規格)での「有機」を目指し、第三者有機認証機関による認証を取得。そのため天鷹の有機商品は、有機先進地であるアメリカやEUでも「有機酒」として販売され、高く評価されています。また、平成29年全国新酒鑑評会では、「有機純米大吟醸 天鷹」が有機日本酒として日本で初めての金賞を受賞しました。

これまで酒の味や香りを表現してきた言葉では語りつくせない、
やわらかさ、まろやかさ、口に含んだ時のやさしさ。
有機の酒には、それがあるんです。

なぜ有機を目指したのか?天鷹が目指しているのは、「誰もが安心して口にできる高品質な酒づくり」、そして「世界に向けて自信を持って発信できる日本のものづくり」。「酒米が育つ田んぼの土づくりから、醸造・製品化まで一貫して、一切妥協のない仕事を」と考えた時、その答えは“有機”でした。さらに、「自己申告で安心・安全を唱えるのではなく、第三者機関による有機認証を得ることでこそ、商品の価値に客観性と説得力を持たせることができる」という強い思いのもと、早い時期から有機認証の取得に取り組んだのです。(2001年に有機JAS法施行。有機認証の申請・審査・認証取得を経て、2005年より有機日本酒づくりを開始。)国産有機サポーターズに登録した理由「日本の有機市場はいまだ黎明期。消費者に正しく認知され、かつ適正に市場が形成され、有機によるものづくりが継続発展していくことを願って参加しました。日本酒が、世界に誇れる食文化の一翼となってほしい。そのために最初にクリアすべきの条件が、有機認証だと思っています」と尾﨑さんは言います。サポーターズメンバーになるにあたり、社員全員が有機に関する法定講習を受講したとのこと。
天鷹の“有機的なものづくり”天鷹の考える“有機的なものづくり”は、自社製品が有機認証を取得することだけを目的としているわけではありません。「有機米を作るために有機の田んぼが拡がることは、この地に暮らす私たちにとっても、田んぼやその周辺に生息する様々な動植物にとっても、安心して生活できる環境が拡がることに繋がります。そして、その環境を未来の子供たちに手渡していくことが、今の時代を生きる者たちの責務ではないでしょうか」と、尾﨑さんは言います。美味しさについて安全・安心は大切だけれど、食べものや飲み物、特に嗜好品であるお酒は、やっぱり美味しさが一番大切…と誰もが思うことでしょう。そこで、「有機酒って、美味しいものですか? 有機でないお酒と飲み比べると、お酒の専門家ではない一般の消費者でも、その違いが分かるものですか?」…と、ストレートすぎるかもしれない質問をしてみました。すると、尾﨑さんは、穏やかに、でも確信に満ちた口調で、こう答えてくれました。「これまで酒の味や香りを表現してきた言葉では語りつくせない、やわらかさ、まろやかさ、口に含んだ時のやさしさ。有機の酒には、それがあるんです。言葉で表すのはとても難しいのですが、実際に飲んでいただければ、確かな違いを実感していただけると思います」「有機酒を美味しく醸造するため、温度管理をはじめ様々なデータを蓄積し、科学的な分析を重ねてきました。その結果、毎年安定的に美味しい酒をつくるノウハウが確立できています。伝統の酒づくりを、現代の科学が支えているというわけです」今後の展望1.グローバル化を目指し、ローカライズを極める
天鷹が使用する有機酒米は、地元の農家さん達の協力を得て契約栽培してもらっています。さらに、2018 年1月には有機原料米を生産する子会社「天鷹オーガニックファーム(株)」を設立。自社農園(田んぼ)を持ち、自ら酒米の栽培に携わるようにもなりました。農家さんたちは米づくりのプロであり、天鷹は酒づくりのプロ。酒づくりのプロとしての視点から酒米づくりを手掛けてみようと考え、実現に踏み切ったそうです。「作物が豊かに実る恵まれた農村地帯にあって、『地元の米で酒を造りたい』と考えるようになったのは、地酒屋としては自然な流れでした。さらに、米以外も、酒づくりに必要なものはすべて、地元のものを使っていきたい。“この土地でなければ出来ない味わい”を極めることが、商品の独自性や付加価値を高め、海外の市場でも競争力を持つ日本酒づくりに繋がると信じているのです」(尾﨑さん)2.子どもたちに“農”や“自然”に触れる機会を
“酒づくり”と“子ども”。一見、接点は無いように思えます。けれども天鷹酒造では、酒づくり、特に、原料となる米づくりの現場には、子どもたちに積極的に遊びに来てほしいと考え、田んぼでのイベントを実施してきました。農業体験とか、食育とか、そんなふうに構えることなく、ただ、親戚の田んぼに遊びに来ているという感覚で、土や水に触れ、太陽や風を感じ、様々な動植物に出会ってほしい。夢中になって楽しく遊んだその体験によって、子どもたちの心に種が蒔かれ、やがては、自然環境を大切にしたいという感覚が芽吹き、育っていくのだと信じ、今後もそのような機会を提供していきたいと考えています。3.日本の酒蔵がつくる蜂蜜酒
蜂蜜酒(ミード)づくりにも取り組み始めました。蜂蜜酒は、古代~中世の頃からヨーロッパで愛飲されてきたお酒で、近年、日本にも愛好家が増えてきました。天鷹ではこれを、清酒酵母を用いて醸し、蜂蜜の優しい甘さと、果実酒を連想させるフルーティーで爽やかな香りのお酒に仕上げています。持続的な農業のために、ミツバチは欠かせない存在。国内産の蜂蜜の消費量を促すことは、日本の農業を守る上でも、とても重要なことなのです。
   

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